親の養育批判追及のカウンセリングのリスク
受け賜われないカウンセリング:親の養育批判のみのカウンセリング
私は心理カウンセラーとして、クライエントの方の、子供時代の親に対する、養育批判のみ・怒りのみの相談(話しを聴く)は、受け賜わっていません。
これは、親に対する怒りを、心理カウンセラーにぶちまけること意味しています。
もちろん、カウンセリングでは過去を振り返り、整理ことも多々あります。
その中で、親に対する今までの思い、悲しみ、怒りが出てくることもあります。
それは、カウンセリングの流れの中でのことですので、問題はないと考えます。
問題はカウンセリングの時間中、子供時の話しと、親に対する批判と怒りだけの相談(話し)です。
最初から、親を批判することのみが目的の相談。
この相談内容(話し)は、自分の生き辛さ(社会不適応、性格等)の原因は、親の養育の結果であり、親が悪いという、根本的な思いが、その心に在ります。
さて、なぜ、この相談を受け賜わっていないか?
その理由は、リスクの高さからです。
Index
1.親の養育批判追及のカウンセリングは親への憎しみを増し自己を正当化する
2.親に対する養育批判のみ、怒りのみのカウンセリングは受け賜わりません
1.親の養育批判追及のカウンセリングは親への憎しみを増し自己を正当化する
基本的に心理カウンセリングは、クライエントの方の話しを傾聴、受容してお話しをお伺いいたします。
しかし、親に対する養育批判をすべて受容して聞いていると、クライエントの方は自己の主張(親に対する批判、怒り、親の責任)を、心理カウンセラーが認め、自分が正しいという思いを強化、それが親に対する攻撃心を増すことにつながらないか、このことが心配なのです。
カウンセリング中、心理カウンセラーが認めたことを、親に直接言い放ち、親を追い詰めるのではいか。
このリスクを高く感じます。
心理カウンセリングとは誤解が生じる、曖昧な世界でもあります。
それは、心理カウンセリングの基本の「受容」にあります。
「受容」とは、「共感」に基づくものであり、クライエントの方の親に対する批判、怒りを、心理カウンセラーが受けとめるものですが、これは、その心を受けとめてはいますが、賛成しているわけではありません。
しかし、クライエントの方は、自分の話しを心理カウンセラーから反対されることもなく、その結果、自分の親に対しての思いが、心理カウンセラーに支持されていると、誤解されるかもしれないのです。
子供が親に対する批判のみ、怒りのみの話しを、カウンセラーが「受容」する。
先のリスクを考えると、私には出来ません。
2.親に対する養育批判のみ、怒りのみのカウンセリングは受け賜わりません
いずれにせよ、カウンセラーが親に対する批判、怒りを容認し、それを機に、さらに親に対する怒りがヒートアップ、実際の攻撃(罵倒、暴力)につがることを、私は恐れているのです。
現在私は、子供時の親に対する養育批判、怒りのカウンセリングは受け賜わりませんと断言しています。
したがって、この種の相談を受け賜わることはありませんが、
もし、受け賜わることがあるとすれば、カウンセリングの最後に
「お気持ちは良く分かります。でも、親に対する怒りはなるべく手放すことを考え、自分に専念することを考えましょう」。
と結ぶでしょう。
親に対する怒りの気持ちは、本当によく分かります。
この親じゃなければ・・・。
この思いも強いことでしょう。
人生返せ、この野郎とか・・・・
でも、親に対する攻撃は賛成出来ません。
私も親に対する怒りは、凄まじいエネルギーを持っていました。
でも、親に対して直接攻撃はしなかった。
ずっと制御していました。
その代わり、ふすまは穴だらけ。
怒りのエネルギーは強烈です。
しかし、一線を超えてはならないのです。
カウンセリングとは、悩まれている方のありのままを受け入れること。
当たり前のように言われています。
しかし、その先にリスクがあることを考えることも大切なことです。