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在宅勤務と孤独|心の問題

新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務、リモートワーク等、なるべく人との接触を減らす、働き方、学習の在り方が模索されています。

職種によっては在宅勤務が不可能な職種もあるでしょうが。

しかし、このような非常事態、私たちが経験したことがない社会情勢は、私たちが抱えている問題をあぶり出す、きっかけともなるものです。

当初、在宅勤務は便利と思われていた社会の潮流も、やがて、その不都合さに気付くこともある。
私たちはいつもそうなのですが、便利さ、利便性をまず評価しますが、その後、その不都合さ、問題に気付くことが多いものです。

しかし、今回の新型コロナウイルスは完全な予防ワクチン、治療法も完成しておらず、私たちの命に直結する問題。
在宅勤務、オンライン学習(休校)等も仕方がないと理解しています。

それでは、心理カウンセラーとして在宅勤務等に関する、心の問題、主にコミュニティ(共同体)の重要性について書き進めさせて頂きたいと思います。
様々なご意見があるでしょうが、ご了承ください。

目次

在宅勤務による心の交流の欠如と閉塞感と孤独

1.在宅勤務の心への影響

通勤電車のストレスからも解放され、在宅勤務は当初歓迎されていたかもしれません。
また、企業からすれば高額な事務所等不要と、事務所を早々に解約撤去、在宅勤務に切り替えを進めている企業もあります(経費削減)。また、在宅勤務は交通費の削減にもつながるでしょう。

しかし、すでに在宅勤務の問題は表面化しています。

a)セロトニン生成の問題

まず一番の問題は、ずっと家にいるストレスではないでしょうか。
私たちは通勤電車が苦痛とはいえ、朝、陽の光を浴びて歩きます。
朝、陽の光を浴びることは、脳内物質セロトニンの分泌に大きく影響していると思います。
セロトニンは、心の安定、やる気、脳の活性化に影響を及ぼす、大切な脳内物質です。
セロトニンの減少により、やる気がなくなったり、抑うつ状態に陥ることも懸念されます。

したがって、朝起きて、すぐに在勤勤務生活スタイルでは、セロトニン生成にマイナスの影響を及ぼすのです。
(もちろん、朝一、散歩からスタートとなると、理想的ですが)。

b)運動不足

在宅勤務になりますと、家にいる時間の長さから運動不足になりがちでしょう。
頼りのフィットネスクラブも閉鎖、これらは、体を動かさないことよりのストレス増、また体力減(健康面)における免疫力、抗体力減にもつながるのではないでしょうか。

また、運動不足は当然、肥満の問題へと発展します。

c)社会コミュニティとのつながりの欠如

多くの人は、日々会社(職場)へ出勤します。
嫌な上司、山積みの仕事があったりと、鬱陶しい思いをされることも多々あるでしょうが、会社とは、1つのコミュニティとも考えられます。

ところが、在宅勤務では他者との交流が不足します。
テレワーク、リモートワーク、オンラインでの会議等もあり、ネットを通じて会話、話しはするでしょう。
しかし、オンラインでつながっている世界は、個々の家、個々の世界とネットでつながっているだけで、人間同志が生でつながっているわけではありません。

人間同志が直接つながることによる空気感、直接話す、感情のやりとり、一体感、深い共感等は、そこから充実感を得、ストレス解放等の効果もあり、やはり私たちには、直接人と接する、生身の体を持った人間同志のつながり、コミュニティの存在が必要なのではないでょうか。

家族も1つのコミュニティなのですが、その家族の愚痴を吐き出すコミュニティの役割も、会社というコミュニティは担っているのです。
(家族の愚痴を、家族以外の人に吐き出すことにより、家族間のストレスが減、家族円満という機能も考えられます)。

d)一日家にいるストレス

上述のことを総合的に考えますと、在宅勤務は長時間家(部屋)にいることも多く、その閉塞感からストレスも溜まりやすく、神経も過敏になるのではないでしょうか。

仮に、家族全員が一日中家にいると、仕事にも集中出来ず、イライラもつのります。
コロナ離婚、子供に手を挙げてしまう、DV、虐待、今まで気にならなかった些細なことが気になる等は、ストレスからくる神経過敏の影響かもしれません。

また、1人暮らしの人が在宅勤務をすると、やはり、家にこもりがちになり、孤独の問題も生じるのではと思います。

孤独が人の心身を蝕むことは、最近の研究では知られていることです。

在宅勤務は、人間の健康と心にとって、健全さをもたらすものなのでしょうか?

2.オンライン学習・教育とはそもそも何

学校の長期休校により、学習、勉学の遅れ。
特に受験を控えている学生にとっては、大問題です。

しかし、年齢を下げて考えてみましょう。
例えば、小学生。

子供は勉強も必要でしょうが、皆で遊ぶことも、子供の仕事です。
遊びを通して、自己主張力、他者配慮力、思いやり、手加減等を学ぶのです。
そして、遊ぶことより、体を動かすことより、ストレス発散。
また、脳機能の進化にも大きな影響もあるでしょう。

それが、ずっと、家でオンライン学習となると、ストレスも相当たまるのではないでしょうか。
家でちょっとした問題行動(例えば遊んで騒ぐ)でも、在宅している母と喧嘩、そこへ、苛々マンの父親登場と、家が揺れます。
これらの事態が、子供への虐待につながることもあるのではないでしょうか?

また、静かにしていると思えば、ネットゲーム。
長時間のネットゲームはネットゲーム依存症になりかねません。

そもそも、学校、教育とは、学習の場であると同時に、人間性を学ぶ場でもあるのです。

オンライン学習(教育)で、人間性は培えるでしょうか?

3.オンライン飲み会は孤独を救えない

皆で集まって飲み会、感情の発散。
これは、1つのコミュニティです。

自粛がはじまった当初は、オンライン飲み会の珍しさから、オンライン飲み会も案外、いいものだと、評価の傾向もありました。

しかし、私はテレビ放映において、分割された画面で飲み会をされている様子を見ていますと、何か不自然な感じを受けました。
皆がバラバラに話しをして、収集がつかないのではと思ったのです。

さて、以前(直近)、関東方面で外国人の方が、自粛解除を待ちきれず、道端で飲み会をされていたそうです。
やはり、顔を合わして、生身の人の感覚を感じない日々が続くと、淋しい、孤独を感じ続けられていたそうです。

私はオンラインでの通話とは、普段、顔を合わす、生身の人間同志が心通わせた後、補助的な役割を担うものではないかと考えています。

もしくは、以前は常に会える距離にいて、その相手とは旧知の間柄(親類縁者、恋愛関係等)、しかし、止むを得ない事情により、今は直接会うことが難しい、したがって、オンラインを利用して、関係性を維持強化する事情等の場合は、大変有効な機能だと思います。

基本的に、オンライン会議、オンライン飲み会は、発信、情報収集、意見交換は可能でしょうが、人としての繊細な感情のやりとりは難しいのではと思っています。

そして、感情が満たせられない社会生活においては、次に、孤独の問題が来ると考えています。

「新しい生活様式」、「新しい働き方」等、持ち上げられる、在宅勤務、リモートワーク等ですが、人と人とのつながりを考えた場合、本当に人間の生き方、在り方として、ふさわしい形のものであるのか、疑問を感じざるを得ません。

4.会社員勤めの方の定年後の問題より考察(コミュニティの喪失)

在宅ワークの心身に与える弊害に書いてきました。
時代は進化するので、それに合わせることが大切なのかもしれません。

今は新型コロナウイルスの脅威が続いています。
したがって、在宅勤務を批判する気はありません。
しかし、新型コロナウイルス収束後、アフーターコロナの社会において、私たちは在宅勤務、オンライン飲み会等、新しい生活様式へと舵を切るのでしょうか。

今後、人同志のつながりは、ネットの画面を通して、今以上に迅速になるでしょう。
しかし、問題は、深い心の交流が出来るかどうかです。

オンラインでの交流は、前述しましたが、意見交換、情報発信等、単に言語の交流においては問題はないと思うのですが、真の人の交流とは、生身の人間の存在を感じる、その空気感を感じる、感情を感じる(共感)、これらは言語のやりとりのみの交流では得られない交流効果です。

そして、これらの効果より、人との一体感を感じることが出来、心を満たすことが出来るのです。

オンラインの交流では、これらを感じる、得ることは難しいのではないかなと感じます。

オンライン交流の利便性は理解していますが、やはり、生身の人間が集う場、コミュニティにおける交流と比べると、心の充足感がどこまで得られるのか、疑問です。

しかし、時代は逆行しない。
考えても無駄なのでしょうか?

しかし、私は心の観点から論じます。

さて、過去からの問題の1つとして。
60歳を過ぎて、会社を定年退職後、数年程ひきこもってしまう方(主に男性)が多々おられることは、よく知られています。

この問題の根源は、会社という、重要なコミュニティを失うことから生じます。

今まで仕事一筋。
会社が、第二の家族のようなもの。

その、大切なコミュニティを失ってしまい。
人間関係がプツンと切れ、やることもなく、他に居場所(コミュニティ)もないことより、家にこもられてしまうのです。

孤独なのです。
生身の人間同志のコミュニティとは、人間の交流の要ではないでしょうか?

会社勤めの定年後の問題と、私が今回書いた在宅勤務(在宅ワーク)の問題を、人間交流(コミュニティ)の在り方と関連付けることは出来ないでしょうか。

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