夫婦関係 ・親の生き方より生じるアダルトチルドレンの思い込み
アダルトチルドレンの思い込みについては、機能不全家族を生き延びるための思い込みの形成と役割の継続について、本ＨＰにおいても、何度か書いてきました。
そして、この思い込みは、親の強制や禁止が明らかに原因となって生じています。
しかし、今回はこれとは別に、親は強制、禁止はしてはいないが、子供が勝手に抱く思い込みについて、２例あげたいと思います。
それは、夫婦関係（両親の関係性）と、親の生き方を見て、子供が自身の生き方に対する思い込みを背負い、生き辛い人生を過ごしてしまうものです。
子供が夫婦（両親）の在り様、親の生き方より、自分自身の思考、行動パターンに、生き辛い思い込みを持ってしまうのです。
これは、機能不全家族であり、アダルトチルドレンをうむ原因となるものです。
両親の生き方在り様より生じるＡＣの思い込み
Index
1.夫婦関係・夫婦の在り様より
2.親の生き方より
1.夫婦関係・夫婦の在り様より
私たちは子供時、両親をこっそりと、敏感に観察しています。
仮に子供時の家庭環境が夫婦関係や、嫁姑の関係より緊張状態であったとしましょう。
子供にはこの緊張状態は耐えられません。
子供は夫婦関係を起因とする、緊張を緩和するために、周囲（主に夫婦、両親）の笑いを取ろうと、何かおどけた仕草をするかもしれません。
すると、一瞬家族間の緊張状態は緩むのです。
そうすると、子供は常に夫婦間の緊張状態が高まる都度、おどけた仕草で周囲を和ます役割を演じ続けることになるかもしれないのです。
この例は誰も子供に対して、周囲を和ます役割を強制していませんし、また期待していません。
しかし、子供にとって家族・家、夫婦、両親の緊張状態は耐えられないものなのです。
そして、この子供が成長すると、様々な人間関係においても、周囲を和ます役割を演じ続けることになります。
仮に緊張状態でなくても、ただ沈黙が続いただけでも「何か自分が周囲を楽しませなくては」と、勝手な思い込みを抱き、子供時背負った役割を果たし続けることになるのです。
そして、その役割を過剰に果たそうとすればするほど、辛くなる場合が出てきます。
心理的に無理もしなければならないでしょう。
また、俗に言う「スベル」事態も生じるのです。
自分が場を和ませよう、盛り上げようと一生懸命になるということは、自分にエネルギ－、その関心が向いている状態です。
したがって周囲を見ていません。
周囲を見ることなく、自分が何とかしようと無理をして行動した結果、「空気を読めない人」とレッテルを貼られることもあるのです。
しかし、人間関係盛り上がる、盛り上がらない、沈黙が続くかどうかは参加者全員の責任です。
自分１人が盛り上げなければと、全責任を負うことは当然生き辛さにも発展します。
子供にとって夫婦、両親間の緊張は耐えられないものです。
その緊張を和らげ続ける役割を果たし続けた結果、大人になった今、子供時の緊張と近い緊張状態を感じ、「自分が何とかしなければ」と、思い込みと行動が生じてしまうのです。
また、次のような例も考えられます。
兄弟間と親の関係性より生じる思い込みの例
兄弟において兄が不登校等になり親の手を煩わせる場合、下順位の兄弟姉妹は親の兄に対する苦労を見て、自分は親を煩わさないでおこう、しっかりしようと、年齢相応以上に振る舞うかもしれません。
「常に自分はしっかりしなければ」と思い込み、何事も頑張る役割を背負い演じ続けるのです。
この場合、家族の誰も、「あなたはしっかりしなさいと」教えたり、期待はしていません。
子供が親の手を煩わせる、兄をみて自分で意志決定をしたのです。
このように、思い込みは夫婦関係、家族関係（兄弟間の関係）を見て感じた子供が、その事態をいかに捉えるかによって、思い込みと役割が発生するのです。
これらは、子供の主観、思いやり、優しさから生じた、生き辛さなのかもしれません。
2.親の生き方より
私たちは親の生き方をモデルとして成長します。
それはいかに生きるかのモデルです。
そして、このモデルとは、いかに生きるか等の人生の指針に関するものだけではなく、日常の些細なことも含みます。
親の生き方、在り様を見て、感じたこと、思ったことは、子供のこれからの人生の態度、信念となることもあるのです。
例えば父親が浮気をして、いつも母親に元気がありません。
それを見続けている娘は、人生早期に「男は信用出来ない」と思い込み、自分は結婚をしないと決意するかもしれません。
また、恋愛に憧れながらも男性不信より、常にパ－トナ－の定まらない恋愛に振り回されるかもしれません。
さらに、親が仕事中毒で家庭を振り返らず、日々淋しい思いをし続けている子供は、自分が「大人になったら家族や子供を大切にしよう」と思い、自分にとって理想の家庭を築こうと決意します。
しかし、家庭を大切にしている健全なモデルが身近に存在していない為、健全な親の在り様とは何かを学習しておらず、逆に家族、配偶者を大切にしようとするあまり、相手を縛り付ける家庭を築いてしまうかもしれません。
これらの例も、誰も子供にこうあるべきと伝えていません。
子供が親の生き方や、在り様、状態を見て感じたことから、思い込みがうまれたのです。
すべてをアダルトチルドレンと言うつもりはありませんが、親の生き方は子供に大きく影響します。
これは事実です。
もちろん、プラスに影響する場合も多々あります。
しかし、モデルとなる親の生き方が極端な場合には、それを見て感じ育った子供は、極端な人生に対する思い込みを持ってしまうのではないでしょうか。
そして、生き辛さを感じ続けてしまうのです。
