人から受けた恩は忘れやすい
私たちは人から受けた恩、助けてもらったこと等、忘れやすい傾向はないでしょうか?
(その助けてもらった期間、恩を受けた期間の長さも影響するでしょうが)。
もちろん、人によっては、助けて頂いた恩を終生感謝される方もおられるでしょう。
その恩を今後の人生の指針として、生き抜く方もおられるでしょう。
しかし、人からの恩が、日々、当たり前のように続くと、私たちは、その恩を忘れがちになる傾向があります。
なぜなら、その恩(行為)を日々受けることが、当たり前となってしまい、「日々の当然の行為」と、心、意識が勘違い、日常の常態行動と認識してしまうからです。
そして、相手が今は忙しくて、何もしてあげられない、とでも言うようであれば、「自分を満たしてくれない」と、人によっては、怒りの感情を相手に向けてしまう時もあると思います。
これも、相手が自分を満たすことが当たり前という心理状態になっているからです。
恩を受け続けると、助けて頂いている、その感謝の気持ちも、忘れてしまうのかもしれません。
さて、恩(助けて頂いたこと)を忘れることについて、心理、生き方と在り方の面から、書き進めたいと思います。
恩を忘れる 恩を恩とも思わない心理の原因
1.時は進み人も変わるため
人から受けた恩を忘れるひとつの原因は、私たちが日々活動をして、時が進み、私たち自身の置かれている状況・状態の変化もあるでしょう。
人は進化と刺激を求めるものです。
そうなると、過去(古い時代)に受けた恩を忘れることもあるでしょう。
過去よりも未来。
そして、新しい刺激、特に目まぐるしく進化するテクノロジーを満喫したい。
恩知らずというよりも、日々の進化に、過去が埋没してしまう、このような感じでしょうか?
それでも、人によっては、「今の自分が在るのは、あの方から、過去に受けた恩のお蔭」と、感謝の気持ちを忘れない方も多々おられることも事実です。
それとは、真逆に、日々の忙しさから、過去受けた恩を忘れてしまう人もいるのも事実です。
でも、その人も、ふと、何かの拍子に、過去受けた恩を思い出し、感謝の心が再燃するかもしれません。
2.ストレス社会の影響
恩を受け助けて頂いた後、また、立ち直った後、私たちは現実社会において、何らかの活動に臨まれるでしょう。
今は経済縮小、格差社会、過重労働の時代。
有給の仕事に就いたとしたら、そこからくるストレスは相当高いでしょう。
日々の忙しさに忙殺。
心の余裕もなく、体は悲鳴を上げる。
このような状態に置かれ働き続けるとなると、今を生きることで精一杯となり、過去の記憶は薄らいでいくかもしれません。
これは、当然、過去に受けた恩を思い出す時間が減ることを意味します。
ストレス社会、今を精一杯生きるということは、どうしても人間の限界として、過去を思い出す時間の減少を招くことにつながり、しかたのないことのように思えてなりません。
3.相手の傲慢な心理を見抜いたため
恩を受けている、助けて頂いていることは分かっているのに、その相手に感謝出来ないこともあると思います。
その理由の1つは、相手が恩着せがましい、恩を売る、助けることによって、自分が上であると、その傲慢性を見抜いている時です。
相手には、自分が傲慢であり、恩着せがましい心理は、意識していないかもしれませんが、恩を受ける側の人によっては、相手の態度、言葉を冷静に分析出来ることも可能であり、相手の態度、言葉の意図を考えながら、冷静に接することも出来るのです。
特に感性の高い方であれば、相手の態度、言葉より、隠された意図を明確に分析していることでしょう。
しかし、その相手でも、助けて頂かないと、自分自身が不利になってしまうこともあるでしょう。
そういう時は、相手の機嫌を損なうことなく、相手の傲慢を感じても、助けて頂いた方が得策でしょう。
しかし、本当に相手に恩を抱くかと考えれば、複雑な心境になられることでしょう。
恩着せがましい方には、あまり長く恩を受け続けない方がいいかもしれません。
その恩に、縛られてしまうからです。
相手は恩を施し、自己価値を上げたい欲望を持っています。
それは、その相手に縛られることを意味します。
また、このタイプの恩、助け、施しを受けた人は、その恩には感謝しつつも、このことについては、今後思い出したくない、忘れてしまいたいと思われているかもしれません。
4.人を利用することしか考えていない
自分にとって都合の良い支援、援助ばかりを求めている人がいることも事実です。
この方は、人から恩を受けても、何の感謝もしないでしょう。
同じ手口を使って、他の方から恩を施してもらい楽をしたい、そのような個性の持ち主なのです。
しかし、いずれは、化けの皮もはがれることでしょう。
それから、「常に他者から自分の心を満たしてもらいたい」、他者依存症者、恋愛依存症者も、その受けた恩に対して、感謝の気持ちは薄いと思います。
彼(彼女)達は、他者からの恩、世話を当然の如く受け、自己を満たしたいのですから。
5.恩は恩により返す
恩を受け、助けてもらった経験のある人は、その恩を返すのが、生き方と在り方の醍醐味ではないかと思います。
その恩を受けた人に返す必要はなく、困っている方に、恩(助けて)を授けてあげれば良いのです。
これが、恩を返す、「恩義」でしょう。
また、受けた恩を忘れないためには、その恩、受けた恩を大きな紙に書き、目に見えるところに貼り、日々、意識、感謝の念を忘れないようにすることも、1つの方法でしょう。
さて、恩に関して、最後に注意すべきことを書きます。
誰かに、「助けてください」と言うのは、勇気が必要なことかもしれません。
しかし、助けて頂かないと、人生が危うい場合もあるでしょう。
助けて頂く、恩を施して頂く。
そのためには、あなたが、その恩を受けるに、ふさわしい人間でなければなりません。
他者の好意、好感を得やすい人である必要があります。
何も難しいことを書いているのではありません。
常に自分なりに考え、人間性の向上を考えてください。
恩を授かる、助けて頂く、受援力を高める、ヒントとなるのではと思います。
そして、人とは1人で生きていくことは難しく、助け合って生きる、太古の昔から、このような生活をしていたのではないかとも推察いたしております。