自分勝手な人の心理と問題
自分勝手な人。
いつの世にもいるものです。
自分のことしか考えない、超利己主義、自己優先主義、自分さえ良ければいい、他人の迷惑等考えない。
これらのイメージが、自分勝手な人に共通するのではないでしょうか。
しかし、自分勝手な人。
なぜ、自分勝手なのでしょうか。
その心理をみていきたいと思います。
自分勝手な行動を平然ととれる心理的背景
1.他者配慮能力の欠如・社会性を教えられなかった子供時代
他者配慮能力。
これは、他者の思いを考える、感じる、思考力、想像力より成り立ちます。
他者の思いを考えたり、感じる能力は、どのようにして培うのでしょうか。
私は子供時の親子関係が最も影響しているのではないかと考えます。
親より適度に愛情を示す言葉、態度より、子供は親との絆、信頼関係を深め、人間関係の基盤を築くのではないでしょうか。
そして、その基盤をもとに、学校等に進学、そこで、さらに、人間関係を学んでいくのではないかと思います。
したがって、人生の最初期の段階である、幼児期、子供時に、親子関係に問題があると、親を信頼出来ず、その結果、他者との信頼関係が何かという感覚も分からず、結果として、人間関係において大切な、思いやりの心理も学べず、自己中心、自分勝手な人になっていくのではと考えます。
私自身、自分の人生を振り返ると、やはり、青年期までは他者のことは眼中になく、常に自分優先、自分勝手な振る舞いがあったと思いますが、人と付き合わない性格だったので、あまり、自分勝手、自己中心性は目立たなかったと思います。
また、親との関係性(主に信頼関係)は対人関係にも強く影響、適切な親子関係であれば、他者配慮能力も身に付くでしょうが、過保護、過干渉、無関心、虐待等の親子関係の場合、子供は自分の心を閉ざしてしまい、その結果、他の子供達とも上手に遊べず、対人関係能力等を伸ばすことが出来ず、自分勝手な大人へと成長していくことでしょう。
2.子供時常に自分は後回し・その反動により自己を優先したい焦りと思い
子供時、他の兄弟姉妹よりも、常に自分が親より後回しにされた、後回しに扱われたと思い育った子供は、成長するつれ、自分が後回しにされることを恐れ、また、後回しにより自分が不利な状態、状況になることを恐れます。
子供時、常に後回しにされていた反動、経験より、自分を優先して、少しでも、良い状況、状態を求める心理も働いている場合もあるでしょう。
他者を押しのけてでも、自己の有利を掴む。
自分勝手な心理です。
3.他人に迷惑をかけられるのが嫌・自分のことしか考えられない志向癖
他人からの迷惑をかけられることは誰でも嫌なことです。
しかし、過剰に他人から迷惑を受けるのが嫌という思いは、ちょっとした、他者からの頼み事等も、自己への侵入侵犯行為とみなし、その頼み事に応えることはされないでしょう。
それは、それで、その方の生き方と在り方ですので問題はないのですが、他者からの依頼等を何でも自己の権利の侵害、自由を侵すもの、侵犯行為と判断されると、協調性の取れない人となり、自分の行動の遂行は自己の権利と主張のみ。
本来は協調性に基づき果たすべ責任等果たさず、他者からは迷惑な人と受け止められ、結果として、自分勝手な人となってしまうこともあります。
自分のことしか考えられないということは、他者のことは考えられない思考、感覚、知性であり、その自分勝手さはやがて周囲との対立を招き、孤独な人生へと進んでいくことでしょう。
4.他者を信頼信用しない・したがって他者はどうでも良い
本来人間とは、ある程度、他者を信頼、信用して、日常生活を過ごすものです。
しかし、子供時の親子関係、青年期のいじめ、また、その後の人生において詐欺等の被害を受けてしまいますと、「人は信頼、信用出来ない」等、人生における信念が生じ、その心の奥深くには、他者を憎む気持ち、他人等どうでもいいという思いが強くあることでしょう。
これらの思いは、他者等どうでも良いという行動化を促進させ、他者配慮の欠如した自分勝手、自分さえ良ければ良いという、他者からもはっきりと分かる行動を取られることでしょう。
まれに、他者はどうでも良いという思いを強く持ちながらも、何となく上手にカモフラージュされ、その思いがないように振る舞われている方もおられますが、やはり、深く付き合うにつれ、他者はどうでも良いという、本心がその言動より見えてくるものです。
5.目立ちたい心理
目立ちたい心理の人全てが、自分勝手な人とは思っていません。
そもそも、人間とは元来、目立ちたい、かまって欲しい、分かって欲しい等の承認欲求があり、その承認欲求の求め方によっては、多少、目立ちたがりのような言動を取ることも多いと思います。
問題は、過剰、過大な承認欲求です。
あまりにも、目立ちたい心理をお持ちの方は、他者の迷惑を顧みず、自分勝手な行動を取ることがあります。
そして、それは反社会的行動、社会規範を逸脱した、自分勝手過ぎる行動の場合もあります。
その心理背景には、自分のことを分かって欲しいという切なる思いがある時もあるでしょうが。
もし、そうであるならば、自分勝手な行動とは違う、他者配慮に基づく行動、例えば、親切な行動、社会貢献への行動等を選択される方が、より健全な人生を歩むことにつながるのではないでしょうか。
さて、自分勝手な心理について書いてきました。
自分勝手な心理、行動。
ご自身が、自己の自分勝手さを修正したいと思われるのでしたら、それは可能だと思います。
しかし、自分勝手が当たり前、常態化、信念化されているとしたら、その、自分勝手は当然の思考、感覚、行動となっています。
したがって、自分勝手を修正、治すことは、真に自己の振り返りが必要な事態等にぶつからない限り、自分勝手と向き合う機会は終生ないかもしれません。